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マガンは、朝早く、一斉に宮島沼を飛びたち、採食地へ向かいます。空一面をマガンが覆い尽くし、鳴き声と羽音に包み込まれる瞬間です。ただし、毎日一斉に飛び立つというわけでもなく、特に霧や雨の日は、バラバラと三々五々に飛び立つ傾向があります。時間は、日の出少し前になることが多く、朝日が早く昇る春は4時半前後、秋には5時半前後が目安となります。
日中、マガンは採食と休息を繰り返します。普段は田んぼで落ち穂や畦草を食べますが、お腹いっぱいになるまで食べると、今度は消化のために休息します。
その生活パターンは、午前中のうちに宮島沼に戻ってきて、水を飲んだり羽の手入れをしながら休息し、午後にはまた田んぼで採食する「2食昼寝付き」の生活が基本です。ただ、天気が悪いときや、田んぼに十分な飲み水があるような時は、わざわざ沼に戻ってこないで、田んぼで休息することも多くなります。
採食地に散らばっていたマガンは、夕方、日没前後になると、編隊を組んで一斉に宮島沼に戻ってきます。キツネなどの天敵が活発になる夜間を、安全な沼で過ごすためです。宮島沼にまだ氷が張っている時期などは、なかなか降りる決心がつかず、右往左往します。
編隊を組んで飛んできた群れは、宮島沼上空で編隊を崩し、ひらひらと回転しながら着水します。「落雁」です。体をひねることで空気抵抗を一瞬なくし、急激に降下できるのです。こうして早く着水しようとするのも、天敵にねぐらを発見されないようにする手段なのでしょうか?
マガンがねぐら入りした後、闇にまぎれてねぐら入りするのはハクチョウです。ハクチョウは夜が遅い分、マガンより朝寝坊です。カモの仲間はというと、マガンがねぐら入りした後に、沼を出ていきます。ガンやハクチョウと異なり、カモは基本的に夜行性なのです。それは、主な天敵が猛禽類で、昼間は集団で身を守り、夜間にこっそりと採食するからだと言われています。その真偽は不明ですが、天敵の種類で行動する時間帯が逆転するというのはおもしろいですね。
朝の飛びたち
田んぼで採食
宮島沼で休息
夕方のねぐら入り