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時に数千羽から数万羽にもなるマガンの群れの基本的な単位は、「家族」です。マガンの家族は結びつきが非常に強く、常に一緒に行動しています。1羽でさみしそうに鳴きながら飛んでいる迷子のマガンも、すぐに家族と合流できるようです。ペア(夫婦)は生涯連れ添いますが、その子供は2~3年で独立し、新たにペアを形成します。
こうした家族やペアがいくつも集まって群れを作るのですが、群れを作る理由は、いくつか考えられます。まず、群れをつくることで、天敵を早く見つけることができ、安心して食事や休息ができます。また、食べものが見つけやすくなるという利点もあるようです。
「がん がん 竿になれ かぎになれ」と謡われるように、マガンは編隊を組んで飛びます。マガンのような大形の鳥は、翼をうち下ろすときに、斜め後方に上昇気流が生まれます。その上昇気流に乗ることで、後ろを飛ぶマガンは飛ぶエネルギーを節約できるわけです。
そうすると、先頭を飛ぶマガンだけは、いつも大変な思いをしなければいけないのですが、採食地とねぐらの往復などでは交代で先導するようです。ただ、渡りのように長距離を移動するときには、経験豊かな「お父さんマガン」が先導するといわれいています。
こうして隊列を組んで飛ぶことが、実に都合がいいのは、マガンを数えるときです。一列に並んで飛んでくるマガンを10羽単位で数えるのですが、それでも6万羽のマガンを数えるのはそれなりの経験が必要です。
ガンの群れ
編隊を組んで飛ぶ
渡りの時は特に長い隊列を組む