Ⅰ 宮島沼の概況
1 宮島沼の地理的位置
  所在地 北海道美唄市西美唄町大曲2区(北緯43°20’ 東経141°43’)
2 大きさ等
    {※1による数値、〔 〕内は※2による。( )内は実用数値}
  高  度  13m、 周囲 約2.7km〔3.0m〕
  湖面積   0.36km (水面積 約30ha)
  水  深   公称最大2.4m 平均1.7m〔1.6m〕  (実測最大1.23m 平均0.86mから1994.8.29・30測定 田辺他)
  水  質   全リン0.053mg/l、全窒素1.2mg/lCOD 10.5mg/l クロロフィルa12.µg/l 腐植型の富栄養湖
  成   因    公式には不明とされる(多分に、石狩川の氾濫で遺棄された残留湖沼の一つで、
       自然遊水池の性格をもった湖と推定される。)
3 環境及び地質的特徴
  位置は美唄市内西端の石狩川の東500m、石狩川泥炭地帯の旧美唄原野に属し、一部高位泥炭多くは低位泥炭からなる低湿地に
  存在する。(かつての美唄原野は、約50%が高位泥炭=ミズコケ泥炭という特殊地帯であった。釧路=5%、サロベツ=10%)
   沼の岸辺は、人工護岸物の無い自然状態が保たれ、マコモに続いてキタヨシが繁茂している。その周辺の北側に雑木疎林を残す
  他は、殆ど水田耕作が行われている。
    ※2〔自然樹林地21.62%、その他地自然地18.92%、農業地21.62%、その他利用地37.84%=人工湖岸〕
4 歴史的背景
   沼周辺は、明治26年頃から入植開拓が始まり、「宮島沼」の命名も隣接していた宮島農場に由来している。
   深い高位泥炭は開拓を遅らせ、沼周辺が畑になるのは第二次大戦後の1950年以降である。明治開拓当初には、雁の卵を拾って
  食用に共したという言い伝えもあるが、これは確証が得られていない。昭和初期頃には、春の耕耘時期に沢山の雁が畑を埋めて
   いたというが、それがマガンだったかヒシクイだったか種の特定に至っていない。すべての雁類が国の天然記念物に指定された
  1971年頃から、水利事業が整い需要とあいまって、沼周辺の畑は急速に水田に転化された。雁類にとって、浅くて広いという
   好の『ねぐら』となる沼周辺が、豊富な餌(水田の落ち籾)に恵まれることになり、急速にマガンが増加する要因となった。
  そして、それまで約40km程離れた石狩湾をねぐらにして沼周辺で採食していたマガンは、1978年以降宮島沼をねぐらに利用
  (※3参照)するようになった。
5 雁等の沼利用
    春4月いっぱいを、越冬マガンの殆ど全部が集結滞在する。国内越冬数をはるかに超えるが、大陸からの雁飛来は未だ確認され
   てはいない。宮島沼は、法的には何ら鳥獣保護施策が執られていない。春の鉛中毒白鳥大量死発覚で、1989年秋から地元猟友会
    で沼での銃猟が自粛された。結果、マガンは南下前の10月いっぱいを、鴨類とともに滞在する。
    宮島沼に集まる雁は、マガンのみである。オオヒシクイは、北のサロベツ原野の湖沼に集結する途中数百羽程度が立ち寄るだけ
   である。他の希少種として、カリガネ、コクガン、シジュウカラガン、亜種ヒシクイの数羽が混入しているのを見る。
    コハクチョウは早春に万を越えて寄留通過して、稚内に近いオホーツク沿岸のクッチャラ湖に集結する。オオハクチョウ数百羽
     も、涛沸湖に向かう途中に数週間滞在する。鴨類は、オナガガモを中心に入沼するが、雁が増えると弾き出されるようにして
     狩川に移動するので春季の数は少なめに見える。
6 水鳥の農作物への食害
     稲作技術の進歩で、収穫前の立ち稲穂が鴨類によって削ぎ落とされるという作物加害は殆ど見られなくなった。新たに、マガ
    ンによる麦芽食害が発生するようになった。
     国の農政転換で、餌場となっていた水田が転作されて秋蒔き麦畑に変えられる。マガンは、融雪後定めていた餌場に降下して
     も籾が無くて青い麦芽を食べだした。減反転作麦芽が4割にも達し食害が顕著になってきた。その後、転作緩和の農政が執
    られることで、麦畑は復田されて『食害騒動』も立ち消えていた。1990年代半ば、WTO関連ウルグアイランド合意は、再び
      水田に畑転作を余儀なくされ再び雁による麦芽食害問題が、再発されることになった。
      マガンによる食害問題は、別に項を設けて詳述する。
7 水鳥の鉛中毒
      鴨猟に使用し湖底に残留している鉛散弾を、水鳥が消化の為の小石として摂取することで、中毒し死に至問題が、我国では
      宮島沼で最初に明らかになった。この問題も、別に項を起こして沼での発生状況を詳述する。
《宮島沼に関する参考文献・資料》
      ※1  北海道の湖沼        北海道公害防止研究所   1990
      ※2  北海道自然環境情報       自然保護年報      (財)北海道自然保護協会 昭和60年
    ※3  ガンとハクチョウの生態   石狩周辺の観察より   星子廉彰 1990 自費出版
        宮島沼及びその周辺における水鳥類の
          動態食性等に関する調査研究報告書〔要約版〕  ㈱たくぎん総合研究所  平成3年
        北海道中央部の美唄における鳥類相  正富宏之・草野貞弘・星子廉彰・田辺至
                  専修大学北海道短期大学紀要 第26号 別冊 平成5年
        雁の郷  宮島沼   草野貞弘  1991  北海道テレビ  豆本
        マガン        池内俊雄  1996  文一総合出版
        美唄とその周辺における探鳥地    田辺  至  1997  自費製作パンフレット
        雁の便り  各号   雁を保護する会  会報
        GOOSE  SUTDY  雁を保護する会
        宮島沼通信  各号   宮島沼の会  会報  1994.6~
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