マガンは気象の観察者
 マガン群は、その日の天候によって相応の動き
を見せる。渡りでは、一般に晴天の日に 、初雁の
南下では弱い北風利用し春は南風に乗って飛来す
ることが多い。また、沼から採食に出ると、好天なら
ば9 時頃には沼に戻り、午後から再び水田に降下
して採食してから夕刻にねぐら入りするという日課を
繰り返す。しかし、その日が雨天であれば、朝の出
沼から終日エサの落ち穂や畔草を漁ることになる。
強風が吹き荒れると、遠出しないで沼辺近くの水田
で採食したり休息をとる。つまり、マガンは天候を読
んで生存に活かす集団なのである。この意味で、
宮島沼での天候記録もマガン観察の大事な要素の
一つといえよう。
変化を与えているとすれば、それはそれで気象環
境についての別の問題を提起していることになる。
  秋晴れの日、暖かな北風に乗って雁行が空を
過る。春には、季節の南風を活用して飛来しまた
旅発っていく。マガンは南下するにも北帰するに
も、弱い追い風を利用することが多く見受けられ
る。彼らは、巧みに天候気象を読み取って旅をし
ているに違いない。
 こう強調すると、マガンは優れた気象活用集団
ということになるが、移動には他の要因も考えら
れる。潜在期間の変動は、マガンが主に採食する
餌の落ち穂が、群の絶対羽数が急増したのに加え
て水田の転作で不足してきたことにも、飛来・渡
去の早まりを誘っている原因が存在するかも知
れない。
  気象変動に敏感なマガン
 巷間では、地球の温暖化が取り沙汰されて、気
象現象の変動もその影響一つにあげられている。
秋の宮島沼でも、初雁を見るのが年毎に若干早く
なってきた。更に、潜在期間が短くなって、別掲
の「日毎潜在変化のグラフ」で判るように、越冬
地への南下も早まってきた。このことは、マガン
の育雛地の東シベリア方面での秋の早まりを意味
するのだろうか?
  一方、春季の「日毎潜在変化のグラフ」を見て
みよう。本州各越冬地からの宮島沼への飛来日と、
一定期間潜在としての沼からの北帰期日が、近年
およその2週間も早まっていることを読み取ること
が出来る。
  近年、越冬地でも若干の異変が見られるという。
宮崎県北部の伊豆沼・内沼や蕪栗沼だけで無く、
秋田県八郎潟残存湖周辺や北部の小友沼の周り
で越冬する多数の雁の群れがある。道内でも、日高
は静内町の牧草地で冬中を過ごすマガンの小群が
定着してきた。地球の温暖化が、マガンの習性に
      観察日誌記載の天候観測方法
 時刻 10時計測を基本
          〔夕刻計測時は計測定点での天候〕
 場所基本的に沼辺センター側の突堤
          〔夕刻計測時は計測定点での天候〕
 項目 天候 観天望気
          (快晴・晴・曇・雨・雪・煙霧他)
     風向・風力体感での16 方位と強さ