ここでは、市民ワークショップで頂いた意見をもとに
目指すべき
目標と現状との差を明確にして、計画の基本的な精神を定めます。

市民に参加して頂いたワークショップを開催し、宮島沼とマガンを保全することによって
どのような姿を目指すのか…目標
現状はどうなっているのか…現状
について、皆さんに意見を出して頂きました。
市民ワークショップで出た意見を整理してみると、大きく「自然」「農業」「観光」「人・教育」の4つの分野に集約することができました。ここでは、どのような考えで計画を作るかについての方向性を決める目標についての意見が、重要な意味を持ちます。


※赤枠部分をクリックすると詳細説明へジャンプします。




継続的にマガンに飛来してほしい。
それに向けて市民が取り組み成果をあげることによって、市民は自信を持つことができ、美唄市は外からも評価・尊敬されるような姿を目指します。
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ゆとりをもった安定的な農業がしたい。
そのために、マガンと共生することが大きなブランドとして営農の安定化に役立つような姿を目指します。
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今来ている人を手がかりに地域の応援団ができる。
農業観光など新しい仕組みができる。
自然保全や農業を支える大きな力(手段)として観光が力になり、美唄の様々な資源が組み合わされて活性化するような姿を目指します。
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宮島沼とマガンを美唄の誇りとして市民が認識する。
宮島沼の保全とマガンの保護に対して市民の基礎的な支援が広がる。
市民が宮島沼とマガンを地域の誇りとして認め、保全に向かって力を合わせる姿を目指します。
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現状は、目標に対してまだまだ大きな開きがあります。この隙間を埋めるような施策を行わなければなりません。




市民ワークショップで検討した目標から、この計画の全体構造として次のような関係を作り上げるという基本的な精神の考え方が導き出されました。
「自然」と「農業」との間に良好な関係を築く 
このことが
マガンの保護に貢献する
…目的
「自然」と「農業」との良い関係を構築するために 
「観光」や「人・教育」が役に立つ
…手段
このような全体構造は、一挙にできるものではありません。「自然」「農業」「観光」「人・教育」の4 つの要素を、一つ一つ段階的に作用させ、全体の構造を強固なものにしていくことが必要となります。(下図参照)
農業が自然に貢献する…マガンのエサ場として
観光を通じて都市住民を応援団にし、安定した農業が展開できる体制をつくる(マガンを守ることがブランドになる)…そのためには自然が必要であり、ここではじめて農業は自然からくる恩恵を意識できます。
無秩序な観光は自然にダメージを与えるので、人や教育の視点を入れてしっかりチェックできる体制にする…人が多く来れば良いということではなく、限りある自然の受け入れ能力を考えて、宮島沼の自然と市民の取り組みに理解のある人を優先的にもてなします。
人や教育を通じて、美唄市民が自然の大切さに気づき、自然を守り育成する原動力となる…その時に研究者は、市民の活動を学術的に支える大きな力となります。
美唄市民は、自然と共生している農業に対して支援をする。
行政は、市民や農業者の取り組みを支援する。
最終的には、「自然」と「農業」のいい関係を、美唄市民(人・教育)や都市住民(観光)が応援するという構図ができ、それが継続可能な体制を目指します。
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マガンが継続的に飛来してくることが政策目標であり、そのためには自然環境の保全には十分な措置がなされなければならない。
自然環境保全と観光利用との優先度の評価を迫られた場合には、まず保全を優先させる。
このような決意と姿勢が多くの人に価値あるものとして評価され、それに向けた取り組みが美唄市の声価を高めることにつながる。

保全意識が明確でなく、実効策に乏しい。
宮島沼の観光に関する姿勢や対応が明確ではなく、持続可能な観光ができる体制になっておらず、マガンへストレスを与えたり宮島沼の保全を阻害している。
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安定的な農業が展開でき、できればかつてのように耕作条件に適した稲作をしたい。
新しい農業の可能性を模索できるような、時間的・精神的・経済的な余裕がほしい。
そのためには、農業単体だけで考えるのではなく、発想を転換してサービスや価値など見えないものを売ることを意識しなければならない。

作業負荷の増加、後継者難、農業をめぐる経済的環境の悪化などから、農業をしていても余裕がない。余裕がない厳しい状況の中で、マガンの食害は、作業スケジュールの変更(二度手間になる)や経済的な損失、精神的な悔しさなどをもたらし、マガンを守ったり共生したりする気持ちにためらいがある。
現在の生産調整の下では、適作作物である米を作ることができない。さらに、その生産調整も先行きは不透明という不安を抱えている。
現状の農業環境の下では日々の農作業に追われ、新しい発想が出てこないことから、付加価値を高める取り組みは遅れがちである。
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現在、宮島沼に来訪している人への対応だけではなく、それを手がかりに宮島沼やマガンの保全・共生に対して価値を見出してくれる応援団となる都市住民を発掘・組織化して、自然環境の保全、農業の新展開、美唄市の発展に役立てる。
その過程で、農業観光環境教育など新しい仕組みを整えて、今後の地域発展に役立てる。

観光、農業、自然環境の保全がバラバラに展開され、共存関係や相互連関ができていない。市内の他の産業との関係も希薄である。
観光客のマナーが良くなく、農作業の阻害やマガンへのストレスなど影響が出ている。
世界的な資産であるはずなのに、事業者や市民はそれを認識しておらず、うまく生かし切れていない。
情報提供が上手くできていない。
ガンの来訪時だけ観光客が集中し、年の大半は誰も来ない。
観光客を迎えるための、最低限の施設整備ができていない。
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美唄を代表する資源で、美唄を故郷と思う人々の象徴的な風景として、美唄市民が宮島沼とマガンの大切さを認識する。
それによって、市民による基礎的な支援の輪が広がる。さらに、市民の誇りとして思う気持ちや活動の積み重ねが、人々の共感を呼んで自然環境の保全につながる。
市民の活動は、突然、できるものではなく、活動の仕組みを整え少しずつ展開することによって、長い時間をかけて熟成される。特に子供たちに対して、今から教育を通じて、宮島沼とマガンを守り育てる価値を理解してもらうことは、継続性の観点から重要である。

市民も観光客も、マガンのことを良く知らない。
宮島沼とマガンが美唄市を代表する世界的な資源であるという意識が低く、地域の誇りとして実感できていない。
市民の参画が薄く、支援の広がりや自主的な活動が見られない。
学校教育や社会教育で、マガンをテーマとした教育が十分に盛り込まれていない。
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まとめ



























目標と現状との差をまとめてみると、下図のようになる。
両者の間には、大きな隔たりがあり、この隙間を何とかしない限り、目標の達成はできない。


かつて、宮島沼周辺の土地利用が稲作主体で展開されていた時には、マガンは落ち穂を採食しており、農業者もあまり気にはならなかった。
その後の減反政策で、稲作から畑作への転換が進み、マガンによる小麦など農作物の直接被害が深刻になってきた。
現在は、農業者の被害を軽減するために、行政が食害対策を実施している。
農業は自然環境条件の下で営まれる産業であることから、本来は世界でも有数のマガンの渡来地で展開される農業に対して、相応の評価を受けて然るべきであるが、その自然からくる恩恵は顕在化していない。
そのため外形的には、農業自然という一方的な構造になってしまっており、マガンの継続的な渡来のための要件である、採食地の確保で大きな問題を抱えている。
さらに、マガンの継続的渡来のためのもう一方の重要な要件である、宮島沼の自然環境保全についても、行政や一部の熱心な市民活動によって散発的に進められているだけで、体系的な施策の展開は見られない。
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