ここでは、計画を作る際に注意したり、気にしたりしなければならない前提となるポイントについて、自然と社会・経済の両面から整理します。

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環境調査や海外の事例などから考えると、このまま何もしなければ、マガンが来なくなってしまう危険性があります。これを事前に防ぐためには、次のような環境を整えることが必要です。
マガンのねぐらである宮島沼と周囲の環境が保全されている
マガンが宮島沼の周りでエサを確保できる
さらに取り組みを進めることによって、春・秋に限定されているマガンだけではなく、四季を問わず他の水鳥が多く来訪する「水鳥ランド」にまで発展する可能性があります。これは、マガンが飛んでくる環境の整備にも役立ちます。
石狩川流域の環境が一体的に保全されている
また、マガンそのものの保全には、マガンのフライウェイ(=渡り経路)全体に眼を向ける視野の広さが必要となります。宮島沼の保全対策と他の生息地の保全対策を連動させて考えるなど、他地域との密接な情報交換を通じて、交流を充実させていく必要があります。



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マガンの飛来数は、年々増加してきています。
しかし、一方でマガンにとって好ましくない問題が発生しつつあります。特に、次の2点については、対策が必要です。
①宮島沼の水質悪化の防止
②観光客によるマガンに対するストレスの軽減
そのためには、宮島沼はもちろんのこと、沼を取り巻く周辺や近くにある水辺(親子沼・手形沼・茶志内沼[奈井江町]、袋地沼[砂川市/新十津川町]、三角沼[北村])まで含めた一体的な環境の保全が必要です。
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マガンに継続的に来てもらうためには、エサの確保が不可欠です。
以前は、マガンは落ち穂を食べていたので農業と共生関係にありました。
しかし、減反政策で土地利用が変化したことによって、小麦への食害問題が発生しています。いかに、マガンと農業との共生関係を回復できるかが、大きな課題となっています。
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宮島沼に飛来するマガンが増加傾向にあることから、宮島沼だけでは収容し切れない恐れがあります。混雑緩和のためにも、付近の沼や石狩川流域の沼へ分散させることができるように、石狩川流域での一体的な取り組みを検討しなければなりません。
また、宮島沼では、マガンだけではなく、多くの貴重な水鳥が確認されています。宮島沼と石狩川流域との関係を意識したマガン対策を進めることによって、宮島沼はマガンだけではなく、他の水鳥にとっても魅力的な渡来地となり得ます。
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宮島沼は現在、我が国最大規模のマガンの渡来地となっている。1975 年から1980 年代初頭までは、特に着目できる飛来数の変動はなかったが、秋季では1989 年に、春季では1984 年に10,000 羽を超えて以降は飛来数が急激に上昇し、2000 年には、秋季40,080 羽・春季57,440 羽が確認された。
マガンが継続して飛来するためには、宮島沼の環境が良好に保全されている必要がある。
最も重要なのは、宮島沼自体の水質・植生など自然環境の保全である。現在、宮島沼では、富栄養化(化学的酸素要求量=COD 、全リン量=T-P 、全窒素量=T-N の大幅増加)が進み、透明度の低下やアオコの発生が見られる。これの原因としては、沼周辺の土地利用との関係や来訪者の過剰な給餌による影響が疑われるが、まだ因果関係を特定できていない。溶存酸素量=DO は良好であることから、沼水の腐敗のような極めて深刻な問題は発生していないと考えられる。今のうちに水質改善のための取り組みに着手する必要がある。
宮島沼への観光客から被るマガンのストレスも、大きな問題である。警戒心の強いマガンは、観光客に姿をさらすことで強いストレスを受けており、湖面のうち観光客が集中する突堤と反対側を利用している。これによってマガンは、宮島沼の1/3 ~1/2 は利用することができず、飛来数の増加とあいまって水面混雑による滞在環境の悪化を招いている。その一方で、オオハクチョウやオナガガモなどは、観光客の与える餌を求めて突堤近くに寄ってきている。本来の餌ではないものを摂取することで、①食べ残した餌が水質悪化の一因となる ②餌の取りにくい時期の給餌によって飛来の時期が人為的に変化する ③自力での食物摂取ができなくなって衰弱死する ④パンくずが喉に詰まり窒息死する事故が発生する ⑤人間と鳥の過剰な接触で本来は相互に伝染しない疾病が伝染するなどの危険性が指摘できる。
これらマガンや水鳥の飛来に関するリスクを軽減し、継続的な飛来のための環境をつくるためには、宮島沼自体への継続的な対策が必要であり、さらにできるだけ可能な限り宮島沼と周辺(約1 ㎞程度)を含めた一体的な環境保全策が望まれる。
さらに宮島沼だけではなく、そこに関わる人に対する対策も重要な要素となる。マガンに対して人がストレスを与えないように、マガンと人との関係を適切に規定することが必要である。
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マガンの食料確保は、継続的な飛来に大切な役割を果たす。
マガンの採食地(春季)は、年によって違いはあるものの、おおむね美唄市西美唄町・上美唄町・中村町、北村中小屋・大願、浦臼町札的・三軒屋、奈井江町茶志内沼周囲を範囲としている。特に宮島沼から4 ~5 ㎞の範囲は、ほぼ毎年継続的に飛来し採食している。
かつて宮島沼周辺一帯は水田単作地帯であり、マガンはその落ち穂を採食していたことから、マガンと農業は共生関係にあった。しかし、近年の農業構造の変化と減反政策によって、宮島沼周辺の農業的土地利用は、減反奨励金を受けた小麦など畑作の割合が増加したため、マガンによる農作物の食害が増加している。
マガンが継続的に飛来するためには、宮島沼周辺での採食地の確保が不可欠であるが、農業者にとってマガンによる食害は大きな問題となっている。
いかにしてマガンと農業が共生できるかが、大きな課題である。
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宮島沼へのマガン飛来数は増加傾向にあるが、沼の水面面積が限られていることから、宮島沼が受け入れることができるマガンの数には限界がある。宮島沼周辺の湖沼が代替飛来地として確保されていると、マガンは宮島沼周辺を安定的な中継地として認識し、飛来しやすい環境が確保される。また、沼への集中的な飛来による混雑の緩和によって滞在環境が向上し、継続的な飛来が期待できる。
さらに、マガン以外にも、宮島沼周辺は全体として多種多様に幅広い種類の鳥が見られる。
美唄市全体の鳥類相:17 目49 科239 種(種・亜種を含む)
宮島沼周辺の鳥類相:12 目30 科105 種(種・亜種を含む)
特に、天然記念物や環境省が挙げている着目種・猛禽類など、貴重な種が比較的多く出現している。これらの渡来は、石狩川を含む水辺があることが大きな要因となっている。
宮島沼でのマガンの滞在環境を改善し、さらに石狩川やその周辺の水辺環境を一体的に向上させることは、他の水鳥の飛来・滞在の条件を向上させることにつながり、宮島沼はほぼ年間を通じた水鳥ランドとして認識される可能性が高くなる。
特にこの場合、多くの水鳥が飛来し行き来する関係の石狩川と宮島沼との間で、植生や水環境の連続性を確保することが効果的である。
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せっかく飛んでくるマガンを、美唄の暮らしや経済のために役立てないのは、大変もったいないことです。また、マガンと市民や市外からの来訪者との関係が意識できるということは、マガンを守るための運動につながっていきます。そのためには、次のような分野でのつながりを意識する必要があります。
農業との関係
隣接する市町村との関係
市街地や新たに出来る交流拠点施設など市内の他の要素との関係
教育や市民との関係
特には、マガンによる波及効果を受けるだけではなく、マガンを守ることにもなるという、2つの側面を持っています。
このようなでマガンを活用するためには、基礎的な手段の整備が出来ているかをチェックする必要があります。
宮島沼までの交通動線は備わっているか
キチンと情報を伝えているか



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小麦への食害ができるだけおきないような取り組み、食害がおきた時の対応などの食害対策は当然、今後とも必要です。
隣接する市町村でも、マガンによる食害を受けています。
さらに考えを進めて、マガンの渡来が農業や隣接市町村にとって何か良いことがあるというような体制を目指す必要があります。
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宮島沼は美唄市の代表的な資源ですが、宮島沼以外にも、美唄市には多くの誇れる資源があります。しかし、残念ながら、それぞれの資源がバラバラになっていて、市民にも市外の人にも、わかりにくい状態になっています。
宮島沼とマガンを手始めにして、市内の資源をうまく束ねて、お互いに効果を高めるようなことを考える必要があります。
この時に、注意しなければならないのは、「市民が良いと思わないことは、外の人も良いとは思わない」ということです。ですから、まず市民の皆さんが、宮島沼とマガン、他の地域資源について認識を深め、孫子へと伝えていくことが必要です。
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上で述べたを実現するには、宮島沼を舞台に何をするのか…ということが重要なポイントになります。その時に必要な条件として、市民や市外の人が、物理的にも情報的にもきちんとアクセスできるようになっているかどうかチェックする必要があります。
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自然条件でも述べたように、減反政策により水稲から小麦への転作が増加し、マガンによる食害を受けている。せっかく作業した成果が無駄になる二度手間を強いられることや経済的・精神的な面からも、農業者とマガンとの関係はうまくいっていない。
すでに、行政が食害対策を実施しているが、永続的な共生関係を確保するためには、マガンをうまく活用した展開方策の確立が望まれている。
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マガンは、宮島沼をベースに広い範囲で採食する。マガンの最大の渡来地である宮島沼は美唄市にあることから、現在のところ隣接する市町村は食害だけ受けて、マガンによる観光や農作物のブランド効果を享受できない状況にある。
自然条件でも指摘した通り、石狩川流域での取り組みから、マガンの継続的な飛来や水鳥ランドの形成の効果が期待されることからも、隣接市町村との交流と連携の方策について意識しなければならない。
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美唄市には、マガンが飛来する宮島沼の他に、他に誇ることができる多くの地域資源があり、観光的な展開が十分に期待できる。しかし、現状では、その知名度は低く、地域資源相互の関連性も薄いことから、十分な成果を挙げていない。
宮島沼とマガンは、美唄市の地域資源の中でも世界的なレベルの資源であると評価されていることから、うまく市内の他の要素へつなげて、相乗的な効果を発揮できる体制づくりが望まれている。
当面の提携対象としては、中心市街地活性化への取り組みが進みつつある美唄市街地、新たに建設される予定となっている交流拠点施設(温泉)、アルテピアッツァ美唄、旧産炭地域が揃って取り組んでいる炭鉱遺産などが考えられる。
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マガンの継続的な飛来のためには、宮島沼やその周辺の物理的な環境保全施策だけではなく、市民による取り組みが必要である。
そのためには、市民の中で宮島沼やマガンが世界に誇れる貴重な財産であるという認識と、取り組みの永続性を担保するために教育などによる世代間の伝承が必要である。
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社会・経済的な面では、マガンが飛来する宮島沼の効果をいかに活用するかという観点が主になっている。
そのためには、宮島沼にアプローチするための物理的な交通動線と、その価値や内容をアピールするための情報について、十分な体制にあるのかという点をチェックする必要がある。
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