● なぞの大量死発生!!
1989年 ハクチョウ33羽
1990年 ハクチョウ20羽、マガン80羽
 宮島沼が初めて全国的に有名になったのは、国内初めての事例となった、水鳥の鉛中毒死でした。
 鉛中毒の典型的な症状としては、群れから離れ、飛ぶことはおろか採食さえしなくなる、全身が麻痺し、翼がたれ下がる、口を半開きにし、頻繁に水を飲もうとする、首を激しく振る、緑色の下痢をするなどがあげられ、やがては確実に死に至ります。また、ここまで症状が悪化しなくても、捕食されやすくなる、繁殖異常を起こすなど、間接的な被害を及ぼすこともあります。

● 鉛中毒はなぜ起きる??
水鳥の鉛中毒は、水鳥が「鉛散弾」を飲み込むことで発生します。そもそも水鳥は、食べ物の消化を助けるため、小砂利を飲み込む習性があります。カモ撃ちなどに使われた直径数ミリの鉛散弾も、水鳥のそうした習性によって体内に摂取されます。飲み込んだ小砂利は、筋胃という場所に蓄えられて食べ物をすりつぶすのに使われるのですが、鉛散弾を飲み込んでしまうと、それが胃液で溶けだし、様々な中毒症状を起こすというわけです。

● 宮島沼での対策
 ハクチョウとマガンの大量死をうけて、宮島沼では、沼底の散弾を採れないようにネットを張る、水を噴射して散弾を沈ませる、小砂利を散布するといった対策が取られました。これらの対策に対しては、事後調査がなかったり、植生への影響が考慮されていなかったりといった問題もありました。しかし、同時に宮島沼での狩猟が自粛されるようにもなり、それ以来水鳥が「大量死」することはなくなりました。

● 鉛中毒は続いている…
 それでも、数こそ少ないですが、宮島沼では毎年ハクチョウやマガンが鉛中毒によって死んでいきます。1980年代以来、その累計は400羽近くにもなるという統計もあります。回収できなかった死体や、周りの沼で死んでいる個体を合わせると、この数はさらにふくれあがります。
 鉛散弾を数粒取り込むと、水鳥は「慢性中毒」の状態になり、死亡するまで2~3週間かかります。つまり、宮島沼で鉛中毒死する水鳥は、宮島沼に飛来する以前に鉛散弾を採取している可能性もあります。
 鉛中毒を防止するには、水鳥が立ち寄るすべての湖沼で鉛散弾の使用を禁止する必要があります。しかし、今でも宮島沼の周辺の沼では散弾銃の薬莢(やっきょう)が落ちています。

● 弱った水鳥をみかけたら…
 鉛中毒に冒された水鳥を捕獲することは難しいのですが、うまくいけば、解毒剤の投与や鉛の摘出等の処置を施して回復する場合もあります。また、トビなどへの被害を防ぐためにも死体は速やかに回収する必要があります。弱った水鳥をみかけたら市役所までご一報下さい。
口を半開きにし、呼吸困難の症状
首を激しく振る
水鳥の消化器官
水際に張られたネット
今も周囲の沼には薬莢(やっきょう)がころがる
故郷に帰れず衰弱したマガン

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