● 泥炭とは!?

北海道のように寒い地域では、湿原の植物は完全に土に還ることができません。枯れた植物が、完全に分解することなく積み重なった、黒褐色の土壌を「泥炭」といいます。泥炭は、実に90%以上が水分で、踏むとふかふかしていて、水がジュワっとしみ出てくる感じです。よく見ると、数百年前の植物の繊維や木の断片などが、そのまんまの形で残っています。

● 泥炭地の利用と価値

泥炭は、ウィスキーを作るためのモルトを薫製するための燃料として有名です。現在では、乾燥させて土地改良材として利用することがあります。また、酸性度が強く殺菌作用があるということで、第二次世界大戦の時はガーゼの変わりに使われたという話もあります。乾燥させれば燃料にもなり、北海道でも戦前までは使われていたようです。
泥炭の中には、太古からの「歴史」が眠っています。分解されないまま残された植物の花粉などからは、数千年前の生態系や気候の様子が分かります。時には、「ボッグ・ピープル」といわれる、よく保存された人間の遺体が見つかり、過去の生活や文化を探る貴重な資料になります。

● 泥炭地の消失

泥炭は、1年に1㍉という速度で、何千年もかけて堆積しました。泥炭が眠っている湿原には、そこにしか棲むことができない、独自の動植物がたくさんいます。それらの湿原は、いまでは農業地や住宅地に開発され、99%以上が消滅してしまいました。何千年の歴史を蓄えている泥炭も、地中で乾燥し、分解されてしまっています。泥炭が分解すると、その中の植物遺体の中に蓄えられている二酸化炭素が、いっきに大気中へ放出されて、地球温暖化を促進するといわれています。

泥炭の種類
【低位泥炭】 比較的栄養分に富んだ場所に、ヨシなどの草丈の高い植物による湿原(低層湿原)が発達し、それらの遺体が積み重なった泥炭。宮島沼周辺は、石狩川が運んでくる肥沃な土壌があったため、低位泥炭であった。
【中間泥炭】 低位泥炭が積み重なってくると、栄養分に乏しくなってくるため、背丈の低いヌマガヤやワタスゲなどが優先する湿原が発達する。それらの遺体が積み重なっているのが、中間泥炭。
【高位泥炭】 さらに泥炭が積み重なり、栄養分に乏しくなってくると、ミズゴケなどしか育たない特殊な湿原(高層湿原)が出来上がる。それらの遺体が積み上がっだのが高位泥炭。現在では北海道農業研究センターが管理する「美唄湿原」と防風林の一部などにわずかに残るのみ。
大昔の木の断片が残る泥炭
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