開拓以前の大湿原であったころは、それこそヒグマやエゾオオカミなどもかっ歩していたであろう宮島沼周辺ですが、今でも何種類ものほ乳類が生息しています。ただ、その多くは夜行性であったりして、普段はほとんど人目につくことがありません。ここでは、最近行われた小型ほ乳類調査の他、直接観察や痕跡の観察によって明らかになった、宮島沼周辺のほ乳類についてご紹介します。


◆ 大~中型のほ乳類
キタキツネ【左上】、交通事故死したエゾタヌキ【右上】、エゾシカは単独で迷って出てくることがある【左下】、分布を広げているアライグマ【右下】


マガモとカルガモからモビングされるキタキツネ

ほ乳類の中でもっとも人目につくのは、キタキツネでしょう。河畔林や防風林に巣をつくりますが、子ギツネが巣穴から出てくる夏場には何回も引っ越しをして、一箇所に留まることは少ないようです。主に夜間に活動しますが、日中にかけて活動することも珍しくありません。

キタキツネに対して、ガンやカモがとる面白い行動があります。キツネが通りかかると、集団で寄ってきて騒ぎ立てるのです。これは「モビング」といって、集団防衛の手段と考えられていますが、その真意は定かではありません。この行動を利用して、キツネに似た犬を使ってカモをおびき寄せては捕まえるのが、カモの「赤犬猟」です。

その他の大~中型のほ乳類としては、エゾシカ、エゾタヌキ、ユキウサギがいます。シカとウサギは山から迷って出てくることたまにある程度ですが、タヌキは宮島沼の側にも棲んでいます。タヌキは臆病な割には案外間の抜けたところがあるのですが、そのせいか、交通事故で死亡していることがとても多いです。

また、水際ではミンクを見かけることがよくありますが、ミンクはもともと北海道には生息しない「移入種(外来種)」です。移入種には、その他にもホンドイタチやアライグマと思われる報告もあって、問題となっています。

◆ 小型のほ乳類
エゾトガリネズミ


エゾヤチネズミ


エゾアカネズミ


宮島沼に生息する小型ほ乳類については、どのような種類がいるかなどの詳細な情報がまったくありませんでした。一方で、ネズミの仲間などの小型ほ乳類は、中型のほ乳類やワシ・タカの餌になるなど、生態系の中で重要な位置をしめます。そこで、多数の専門家を有する市民団体である「宮島沼の会」が、宮島沼の保全に向けて「宮島沼周辺小型ほ乳類調査」を行っています。

調査は、主にネズミとトガリネズミの仲間を対象に行っています。「トガリネズミ」はあまり聞き慣れない名前かもしれませんが、ネズミよりはモグラに近い動物の仲間です(ネズミは「げっ歯目」、トガリネズミは「食虫目」に属します)。北海道には、5種類のトガリネズミが生息していますが、その内2種類(ジネズミとトウキョウトガリネズミ)は数も分布もも限られています。宮島沼周辺では、エゾトガリネズミとオオアシトガリネズミが確認されました。

ネズミは、大きく3つの仲間に分類できます。人家周辺に生息し、北海道では移入種である「イエネズミ」(クマネズミなど3種)、尾が短く、ずんぐりしている「ヤチネズミ」(ミカドネズミなど3種)、尾が長く、スレンダーな「アカネズミ」(ヒメネズミなど3種)です。宮島沼周辺では、それぞれの代表格とも言える、ドブネズミ、エゾヤチネズミ、エゾアカネズミが確認されました。

上記の内、最も数が多かったのが、エゾヤチネズミです。北海道全域に分布し、最も一般的なこのネズミは、植林地の害獣としても有名です。「ヤチ」は谷地、つまり湿地を意味しますが、森林などにも普通に生息しています。

また、今回の調査では確認できませんでしたが、近くの防風林や河畔林には、シマリスやエゾモモンガが生息している可能性もあります。さらに、宮島沼では、ひらひらと飛ぶコウモリも確認されているので、今後は、これらの生息状況も調査できればと思っています。




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